Basketball Life

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SPECIAL Archive企画1 2009WC明成・佐藤久夫コーチインタビュー

2014.01.22
まだまだウインターカップネタはつきないのですが、

ここで2013年WCで4年ぶりの優勝を果たした明成の記事をご覧いただく前に
“予習”として、アーカイブ企画を。

Basketball Life vol.7冬号に掲載した2009WC明成初優勝時の記事と
佐藤久夫コーチインタビューを掲載します。

なぜ、今この記事を公開するかというと
前回の優勝と足跡がわからないと、2013WC優勝記事の中で理解できないことや、
かなりの点でオーバーラップされる部分が多かったから。
2013WC優勝(まだ先のアップとなりますが)の記事の前に見ていただきたかったからです。
まずはSPECIAL Archive企画その1からどうぞ。



明成ベンチ




デジタルの時代なのに
アナログに戻るような
バスケットだった

佐藤久夫コーチインタビュー

明成3決勝
山場となった延学戦ラスト。「みんなでみんなで!」の声が響く。ハドルにも自然に集まる。菊池はもう泣いている



「彼らから感動をもらいました」

選手にはこちらの要求していることを100%以上、200%で返せと、言っている。それをよくやっている、それを感動という表現にした。よく頑張っているなぁというのは感じさせてもらった。

流れからすると、(準々決勝)延岡学園戦をクリアして宿舎に帰ったとき、
「あとはくよくよ考えることはないから、思い切ってやるだけだよ」と。

延学の前の戦い方はちょっとデリケートだった。それでも光泉、長崎西を何とかクリアして、今大会の大きな山場である強豪・延学戦を迎えた。内外角とバランスの取れた相手なだけに、内容を相当よくしなくてはいけない。そこでどう戦うか。

彼らが乗りそうなときにこちらが力を出さなくてはいけない。
勝負は終盤の5分。

ディフェンスがうまくいって、延学はシューターのところにボールを集める、3Qで川元に2つか3つシュートが入って、こっちは待ってましたとばかりに、入れられたら速攻で決め返すという気持ちの準備があった。川元のシュートが入った時は、すかさず攻め返す。あとはゴール下で圧倒的な強さを見せる永吉を徹底マークという指示だった。



オフェンスの変化

攻撃ではウインターカップの直前まで理想を求めてきたけれども、これ以上求めても間に合わないだろうと判断し、少ないメンバーでやろうと切り替えた。
2センターから1センターにして、3ガードを中心とした戦術面に切り替えた。

本来は、センターにボールを集めてゴリゴリやりたかった。当初スターターは菊地と宮澤のツインタワー。そこが指導しきれなかった部分だ。今まではできないことに対して選手が悪いとしていたけれど、大会前に東京にきてから、やるべきことを絞った。このスタイルに慣れていけば、彼らの持っている力が出るんじゃないか、という気はしていた。あそこまでうまくいくとは。

インターハイ・チャンピオン福岡第一は個性あふれる選手がいるチームだが、センターイブラヒマがケガでいないし、大幅な戦力ダウンだったことは否めない。延学は最後に川元が負傷してベンチに下がったまま。勝負所で粘り強さを見せていた福大大濠も、エースセンター二宮が途中でまぶたの下を切ったり。今まではこっちにいろいろなアクシデントがあったのに…。

たまたま、リバウンドがいるところに落ちてきたり、うちにとってはラッキーだった部分もかなりある。
最後は1センター。ツインタワー仕様は局面でしかなかったけれど、その構想が最後に生きた。方針は間違ってなかった。宮澤もスクリナー、リバウンド、ポジション取りでファウルを誘うなど、彼なりに力を出してくれた。



試合に臨む姿勢

12月は3月にやってきたことが生きた。3月は畠山が入院していて、安藤も打撲から肉離れで松葉杖をついていた。
この時期に高田と菊地、これに2年生を加えて各地に遠征に行った。能代カップも畠山が万全ではない状態、という中でやってきた積み重ねの効果が出た。

例えば、高田はそんなに攻め急がないでさばけばいいのに…と思っていたのが、今大会は合わせのプレイで村田を使ったり、アシストも増えていい結果につながっている。

今大会は試合をやるごとに何かが良くなっていった。前のゲームや、練習でできなかった課題がクリアされていった。それは試合に臨む姿勢が良くなった証だ。やっていても、勝ち負けじゃなかった。なんでディフェンスのローテーションが悪いんだ、オフェンスでもポジションの取り方が悪い、スクリーンのタイミングが遅いとか、勝つためにやっているのでなく、一つひとつの正確さを求めて内容を高めたいがゆえにやっている。  

勝ちにこだわる部分は、残り5分、試合の終盤ぐらいだった。これで入れたら勝てるとか、ミスしたら負ける…選手も俺もそういう発想ではない。なんというか、ウインターカップでは勝負の世界に集中できていた。

3年生はそれがもっと早くできていれば良かったんだけど(笑) 今までずっとさぼっていて、3か月、4か月のチームだから。それではダメだと今の2年生には言っている。新チームには、11月、12月ではなく、お前らは「2月、3月(にできるようにならなくては)じゃなきゃダメだ」と。

3年生のウインターカップに対する、スポーツに対する気持ちが今から出てこないと、インターハイは勝てませんよ、と言っている。



先輩越え

初優勝を狙ったんじゃない。先輩たちの学年を越えたい、それしかない。やっているうちに、優勝できそうなそんなところまできていた。ひょっとしたら、勝てるんじゃないの、終わってみたら勝っていた、というパターンだったと思う。


ディフェンス

延学戦、大濠戦でも相当いいディフェンスができた。ゾーンでもない、マンツーマンでもない。教えたけれど、確認してないことまでできていた。ハイポストに対するディフェンスに何でボールを入れさせるんだとか、つき方が甘いとか、狙ってなかったとかは、上の2人に言うことだった。安藤が45度からカッティングされた時に、ローテーションに行きなさいとやってくれている。これは多く確認していなかったこと。1人がそういう動きをしていると、自然に他の者も出ていかなくてはならない、という状態になる。そこに安藤の賢さが出ていた。

ハーフコートでオフェンスが上がっていくと、ディフェンスは追っかけていく。それを待たないでディフェンスが追っかけて、そのままスリークォーターまで上がっていった。オフェンスはドリブルに対してはマンツーマンで、エクスチェンジ・ローテーションをしていくのが一番いい。

ベンチからの指示は明確な言葉を言わず、「上がれ上がれ」。わずかな指示で選手たちが判断してやってくれた。たいしたもんなんだ。普段から口うるさく言っているのは、ディフェンスのローテーション。絶対にハイポストにボールを入れさせるな、と。マンツーマンの運動量と比べると、あのディフェンスのほうが次のプレイが見えているから。スタミナがたいしていらない。あれが負けている時ならぱ、追いかけるディフェンスだから、スタミナはものすごく必要なんだけれど。

チェンジング・ディフェンスは、マンツーマンとゾーンを切り替えて行う。コンビネーション・ディフェンスは、マンツーマンとゾーンを含めたディフェンスをする。うちはどちらかというと、コンビネーション系のディフェンス。ここはゾーン、ここはマンツーマン。それに対しての対応力がどこも今ひとつだった。センターが欠けていたのもうちにとっては楽になる大きな材料だった。あのディフェンスで、こちらの得点が入らないときにずいぶん助かった。延学、大濠戦はそれでクリアできた。福岡第一戦はずっとノーマルなマンツーマンの繰り返しだった。


ルーズボール

今回の勝因は、ディフェンスとルーズボールだ。尾崎さんの忍者ディフェンスの中からいろいろ教えてもらったのをはじめ、昔の指導者たちの考え方を教えてもらってやったことは大きかった。リバウンドもスコーンと取るのではなく、外にちょこーんと出したやつだから(笑) 拾いまくるリバウンドだった。

ルーズボールで頑張ったのは村田だ。最初の光泉戦で村田はリバウンドに行かなかった。それから、役目を確認させて、そこからじゃないかな。本来あいつは得点にからみたい。自分の仕事として、大会中はリバウンドとルーズボールに徹してくれた。延学戦で、後半たまたまリバウンドを取ってラッキーにシュートを決めたことがあった。そこであいつのためにプレイを作ってアウトサイドもやらしたんだけど、入らなかった。そこで入ったら別バージョンでやったけれど、これは最後までシュートはダメだと判断した。多くを期待しないで、やれることだけをやっていかせたのが一番よかった。それによって落ちついて、得意なことだけやっていけばよかった。



事前の想定練習

(試合の残り時間を想定して)3分ゲーム、5分ゲーム、8分ゲームと3つのバージョンでやった。
11月の末から、無駄がなくなってきた。そのへんから、自分たちのやるべきものはどれか、ということがわかってきた。あとは精度を上げるだけ。

勝負所の1対1、それを3対3の中でやる。11月末に集中的にやった。
3対3の中で1対1を10本、次の選手が10本、次の選手が10本…30分で1回回る。それを5回回したり、7回回したりしていた。相当な時間もかかるし、ディフェンスもやらなくてはいけない。ここで個人の強さが出た。ここという時に、決めていくことができた。

短期集中型。あまり早くからやってもダメだし、試合の調整としてやるのがちょうどいいんじゃないか。それで勝負強さが出た。いつも対人関係の時に競ってくるとシュートを落とす連中が、競っても決められるようになってきた。体を預けたり、自分の態勢を崩したシュートを打たないことを覚えてきた。



バスケットの本当の楽しさ

大会3日前だったかなぁ。“仲良しクラブではない、本当の楽しさは何か”を話した。
前にも話したことはあるんだけど。それが延学戦に出た。緊張しながら自分の仕事をやって、その試合を勝ったりすると残るのは何かというと、次のことを考えている。それがバスケットボールをやっていて楽しいという瞬間だ。

延学戦最後のタイムアウトのとき、それがなんだかわかるか?  と、選手に問いかけたら、
「はい!」と言いながら感動してしまい、みんな泣き出してしまった。

これはマズイと思ったんだけど、今まで体験したことがないことを体験できたということが、集中につながった。技術的に何が上回ったかというと、ルーズボールくらい。あとはディレード。オフェンスで我慢して、スローでコントロールしながらゲームをしていく中で、最後の5分になったら走りきるスタイルに変わるとき、パッと力を出してくれたことがよかった。


うちがディレードをするイメージがないかもしれないが、ディレードはしっかり攻めること。そのために時間をかける、相手と一緒になって走りっこになることはしない。それが利いた。試合運びにおいて、相当以上の効果があった。

福岡第一との試合では、(早い展開に)行きそうで1回止めてまたやる、という場面もやった。1回止めて前半と同じように回しながら攻める手前で、ドライブで行ってしまうとか。相手が太刀打ちできないリズムで打った。それを選手たちが状況を見極めてやってくれた。行きたいのに「待て待て…」はダメなんだな。今は行くべきではないよ、というベンチの思惑と、コートの選手たちの判断が一致しなくてはいけない。彼らがよく理解してくれた。


観客が感動

バスケットの原点がハート。その原点で支えていって、自分たちがやれるものだけのバスケットで無理をしないというスタイル。勝負所では意地を見せた。
なんの変哲もない、普通のバスケットなんだけど(笑) 日本のバスケットの縮図という気がする。 


「誰でもができることをちゃんとやれば、優勝できる」 (優勝インタビューの最後の言葉)は、

全国の高校生に向けて発信したもの。今の高校バスケット界は、みんなが個人の能力に惑わされている。個人能力に任せた試合を見ていると、アナログ時代ならここからミスしたら負けるという時に、たくさんのミスをお互い繰り返している。バスケットの特性が働いていない。俺ならここでコントロールしたいなぁと思う場面もあった。

いけいけのバスケット、ここで走りっこのバスケットをするようではダメだなと昔の人たちの目と、今の指導者の求め方に相違があると感じた。



温故知新

尾崎さんの忍者ディフェンスからいろいろ教えてもらったのをはじめ、昔の指導者たちから考え方を教えてもらってや
ったことは大きかった。さまざまな考え方を通して学んだことを、自分のバスケットにフィードバックしてコーチングの向上ににつなげられたと思う。

昔のバスケットボールを取り入れさせてもらって、デジタルの時代なのに、アナログに戻っていくようなバスケットをやっていったような、面白い大会であったと思う。


最後になりましたが、今回の優勝は関係者の皆様の多大なるご協力と皆々様の温かい応援による賜物です。
心より感謝の気持ちを。ありがとうございました。


明成1
応援席に実は2013の主役となる7期生の姿もあった

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